2029年4月から自動運転車の検査は1級自動車整備士に限定—2025年7月の省令改正のポイント解説

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自動運転車の検査が1級整備士に限定? 最新法改正で変わる難易度や年収・試験対策を徹底解説

2025年7月8日、国土交通省から時代に合わせたアップデートとして、自動車整備の事業規制の見直しが発表されました。

その中でも、整備業界に大きな影響を与えるのが、「2029年4月以降、自動運転車の検査を行う検査員は1級自動車整備士に限る」という新たなルールです。

つまり、自動運転車の検査業務をおこなうためには、事業所に少なくとも1名以上は1級整備士が在籍していることが要件となり、1級整備士の重要度がより大きくなってくると考えられます。

この記事では、国土交通省からの発表を基本に、1級整備士の難易度やキャリア価値、年収、そして試験対策まで、まるっと解説していきます。

自動運転車の検査が1級整備士の独占業務となる背景

2029年4月以降、自動運転車の検査業務が1級整備士に限定されると国土交通省から発表されました。

その背景は、国交省が進める先進モビリティに対応した制度整備の一環として、高度化する車両技術に対し、より専門的な知識と技能を持つ人材が必要と判断されたことによります。

中でも注目されているのが、自動運転の実現に向けたインフラともなる、自動運転車の検査を担う人材の質の向上です。整備士業界は慢性的な人手不足が続いており、最上位資格となる1級整備士も足りているとはいえません。

1級整備士に限定された業務という強みは、1級整備士を目指す動機づけとなるとともに、将来的な給与やキャリアの面でも、下位の資格保有者と大きな差を生む可能性があります。

筆者が車屋に居た時は「1級整備士の資格は無駄」と言われていましたが、今後、大きな武器になってくれると考えられますね!

1級自動車整備士とは?

1級自動車整備士は、整備士資格の中でも最高位に位置する国家資格で、次の3種類があります。

  • 一級大型自動車整備士
  • 一級小型自動車整備士
  • 一級二輪自動車整備士

現在、1級整備士の試験は小型のみが行われており、大型や二輪の試験は開催されていません。そのため、一般的に1級整備士資格というと「一級小型自動車整備士」のことを指します。

1級と2級の業務範囲の違い

現時点では、1級整備士と2級整備士で業務可能な範囲に大きな違いはありません。

ただし、1級整備士は電気自動車や水素自動車などの、高度な電子制御装置(ADAS等)の整備ができる点が強みです。

また、最上位の資格を保有することで、工場全体の整備管理や後進の育成など、リーダーシップを取れる人材として期待されるでしょう。

ADASとは?
先進運転支援システム(Advanced Driver-Assistance Systems)のことを指し、カメラやミリ波レーダー、ソナーなどによる運転支援の仕組みです。

試験制度と難易度

1級整備士の試験では、学科試験と実技試験が行われます。

学科

筆記試験では、電子制御やセンサ系の構造や機能、点検・修理に関する問題に加え、法令、安全管理に係る知識などが出題されます。

令和5年度の合格率は以下の通りです。

  • 筆記:59.1%

また、以前は口述試験が行われていましたが、改正によって口述試験は廃止されたため、筆記試験に集中することができます。

実技試験の流れと評価ポイント

実技では、実車を使った診断・整備・発表までを限られた時間で実施。評価では、正確性や安全性、説明能力、工具の取扱いに関する知識などがポイントとなります。

直近の試験では300人が実技試験を受け、合格率は31.9%程度となっています。受験生の約3人に1人しか合格できない難関ですので、受験の際には徹底した準備が欠かせません。

実技試験合格のコツと実技免除の条件

実技対策は、経験者の体験談から学ぶのが一番の近道です。

noteやブログで公開されている合格体験記事から、以下のような対策ポイントが見えてきました。

  • OBD診断や配線トラブルの診断などをシミュレーションしておく
  • 過去門を繰り返し解き、回路図から不具合を推定する力を鍛える
  • 報告プレゼンでの落ち着いた説明能力を身に着ける
  • 作業の正確さはもとより、安全管理と判断の根拠が重要視される

現場経験を活かした冷静な対応力と、事前のロープレ練習が合格のカギとなってくれます。試験までに、可能な限り実車を使ってロープレをおこなっておくようにしましょう。

ただし、一種養成施設、二種養成施設で1級自動車整備士の課程を修了している場合は実技試験が免除となります。受験の際には、養成施設の課程を修了し、実技試験は免除してもらって、学科試験に集中するのがおすすめです。

キャリア&年収 |1級保持者ができる仕事

1級整備士には、単なる作業員ではなく、高度な診断や現場の管理業務に特化したキャリアパスが用意されています。EVや電気自動車の故障診断のエキスパート、さらに、工場のリーダー、マネージャーとして出世を目指すことも可能でしょう。

一級整備士の平均年収は約420万円といわれていますが、最上位資格である1級保持者の場合、ディーラーや大手整備工場への転職も現実的です。大手の場合には、年収500万円以上を提示する求人も珍しくありません。

ただし、1級整備士資格では車検業務を行うことはできませんので、車検まで一括して対応できるオールラウンダーを目指すなら自動車検査員の資格が別途必要となります。

1級整備士資格の取得ルートと学習ロードマップ

1級整備士になるには、以下の2つのルートがあります。

  • 養成施設ルート:一種養成施設での一級自動車整備士養成課程を修了、実技免除で筆記・口述のみ受験
  • 実務経験ルート:2級取得後3年以上の実務経験を経て、全試験を受験

1級整備士資格の実技試験は、合格率が約3割という難関のため、養成課程を経てからの実技免除でのルートがおすすめです。

僕も、3級、2級の取得時には整備振興会の養成課程を受講しましたが、実技が免除されるという最大のメリットはもとより、学科についても授業でしっかり教えてくれますので、学科試験の対策も同時にすることができます。

また、他の事業所から養成施設に通う仲間ができる点もメリットです。

独学で勉強される場合の学習ロードマップとして、実際に1級整備士資格に合格された方の話を聞くと「とにかく過去問題をひたすら解く」のがおすすめとのこと。

また、今回の規制見直しのように、規則や法令に変更があった場合、試験問題として出題される可能性もありますので覚えておくようにしましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 実技試験は免除できる?

A. 一種養成施設、二種養成施設で1級自動車整備士の課程を修了している場合は実技試験が免除となります。

Q. 独学でも合格できる?

A. 十分に試験対策を行えば合格は可能ですが、実技の合格率は3割程度と難関のため、養成施設に通って免除するルートが安心です。

Q. 大型や二輪の1級はある?

A. 現時点では小型自動車のみ、1級整備士の試験が行われています。

Q. 試験はいつある?

A. 年1回行われています。令和6年度は、3月に学科、5月に筆記、8月に実技の試験が行われました。

Q. 難しいのはどの試験?

A. 実技が最難関です。対策には過去問題を対策し、実車を使ったトラブルシューティングに慣れておくようにしましょう。

まとめ|1級整備士資格を取得して自身の価値を向上させよう!

自動運転時代の到来により、1級整備士の重要性はますます高まることが予想されます。

特に2029年以降、自動運転の検査業務は、1級整備士資格を保有している検査員に限るという独占資格としての価値が加わります。より、資格の有無によってキャリアや年収にも大きな差が出る時代になるでしょう。

最上位資格の1級整備士は、資格取得の難易度は高いですが、逆に、今から準備できる人にとっては大きなチャンスです。

まずは自分の学習スタイルに合った勉強方法を選び、計画的な学習で合格を目指しましょう!

参考

国土交通省 これからも自動車を安心・安全に使用できる社会に向けて
国土交通省 報道発表資料 これからも自動車を安心・安全に使用できる社会に向けて
国土交通省 各アップデートの解説
一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会 一級自動車整備士Q&A
一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会 令和5年度第2回(第108回)自動車整備技能登録試験「学科試験」の試験結果について
国土交通省 受験資格について
国土交通省 自動車整備士養成施設について


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